目次  page2 唐織が夢になるまで 2  page3 月に花兎文  page4 白詰草  page5 波に飛魚文  

     page6 懸崖の菊文  page7 伊曽保物語  page8 伊曽保物語 2  page9 松に朱鷺文 

     page10 雪輪片栗文  page11 日本童話文  page12 たんぽぽに桜文  page13 夢・飛行文

     page14 希望・方舟   page15 光と風


唐織が夢になるまで

 この本は単なる作品集ではありません。あらゆる

美術の中で織物の美が洋画、日本画などに対する、

もう一つの美の表現体であることと、絵の具・プリン

トで出せない魅力を持った素材であるということを

証明したいのです。


 人間の生活をあらわすのに衣・食・住という言

葉があります。それらは時代が進むうちに文化と

して発達し人々の心の豊かさを満たすようになっ

てきました。

 人が衣を着るようになると、毛皮の次に布を織る

ことをおぼえました。木の繊維などから糸を作り、

糸を交差させて織物を作り出した時から紋様は始

まっています。しかし人が意図した文様を織り上

げるまでには、時間が必要だったと思われます。
      
   日本の古代では中国の王朝文化との交流からいろいろな文様・装飾が与えられ、その模倣から始まり

  ました。
   
    織物の世界は平安時代の王朝文化に独自の
   
   和の世界が形成されますが、常にその時代の権
   
   力者の庇護のもとに発展し作家として独立した
   
   作品になるまでには至らなかったと思います。
   
    しかし明治以降文明開化のもと作家が誕生し
   
   ました。
   
    ジャガードも輸入され美術的な織物製作に革
   
   命がもたらされ、作家たちも自分の作品をつく
   
   り始めました。産業が活発になったせいもある
   
   のでしょうが、織物はより分業化されて現在ま
   
   で続いています。
   
    織物は絵から製品になるまでに人々の労力
   
   と費用がかかります。市場経済上どうしても売
   
   れるもの、売れているものという先走った製品
   
   が出来上がります。じつは織物の図案に新味が
   
   少ないのには、これらの技術と経済優先の日本
   
   の土壌にあるのではないかと思われるのです。

       


「唐織はレリーフの絵画である」 page1

                       唐織が夢になるまで 2